仙台市中心部の広瀬川沿いにたたずむ白壁の木造平屋に入ると、巨大な水色の発電機が横たわる。ゴウンゴウンと、くぐもった低いうなり音が響く。三居沢(さんきょざわ)発電所(仙台市青葉区荒巻)。日本の水力発電発祥の地で、今も「現役」として地域に電力を送り続けている。
この地で水力発電が始まったのは、明治時代の紡績会社が夜間照明を始めることになったことがきっかけ。「東京では夜に明かりが灯された」と聞いた宮城紡績会社初代社長の菅克復(1837~1913)が1887年12月、仙台に鉄道が開通したその日に東京へ行き、電気会社を調査。「紡績工場で使う水力で電灯を点ければ夜間も操業できる」と考え、5キロワットの小型発電機と電灯を買った。
1888年7月1日、工場で機械の動力となっていた水車に発電機を取り付け、工場内と裏山の烏(からす)崎山の山頂で電灯をともすことに成功した。日本で初めて電灯がついてから10年後のことだった。
「地域に寄り添った発電所、これからも大切に」
東北初の電気の明かり。「三…