日本人女性初の水上飛行機操縦士・西﨑キク(1912~79)の足跡をたどる特別展が、17日から出身地の埼玉県上里町役場1階ホールで開かれている。90年前に女性初の海外飛行をしたことで知られるが、その後は教育者、農業者、社会活動家、文筆家としても活躍した。そんな様々な顔についても紹介している。27日まで。
キクは尋常小学校の教員時代、子どもたちと出かけたサイクリングの帰り道で飛行機の試験飛行に遭遇し、飛行士を志した。1933年、20歳で水上飛行士となり、その年の10月には利根川河畔への郷土訪問飛行を実現。10万人近い人々が出迎えたとされる。翌34年10~11月には羽田~朝鮮半島~新京(当時の満州国首都)の経路で女性初の海外飛行の偉業も達成した。
ここまでは多くの人が知るキクの功績だが、その後の人生がまた興味深く、会場にはそれを伝える写真やパネルも数多く展示されている。
24歳のころ陸軍省に従軍志願書を出したが却下されたキクは結婚し、開拓団として中国大陸へ渡った。様々な困難を経て46年に帰国すると、鴻巣市や上里町の中学校に奉職。農業にも精を出し、「酸性土壌に生きる」という開拓体験記で農林大臣賞にも輝いた。
晩年は町教育委員会の社会教…