士別翔雲―稚内大谷 三回裏稚内大谷2死一塁、一塁走者川原が盗塁に失敗。遊撃手熊田、二塁手森下=2025年6月29日午前11時10分、士別ふどう、加藤丈朗撮影

(29日、第107回全国高校野球選手権北北海道大会名寄地区代表決定戦 士別翔雲2―1稚内大谷)

 北海道内で唯一、甲子園出場校がない最北の名寄地区。来夏から大会方式が変わり、地区大会(支部予選)がなくなるため、29日が最後の地区代表決定戦となった。

 始球式は甲子園に3度手をかけた山下優(まさる)さん(76)が務めた。

 長く稚内大谷の監督と部長を務め、1980、81、93年の北北海道大会で準優勝に導いた。名寄地区全体のレベルアップにも尽力した。山下さんによると、支部予選をなくす案はこれまでも持ち上がった。当時は大反対したという。「熱戦を間近で見る。それが小中学生が野球を志す理由になる」

 ただ、少子化はかつてないほど進む。大会の変更は仕方ないとも思う。

 この日の代表決定戦は、そんな名寄地区を先導してきた功労者が望んだ熱戦となった。

 稚内大谷と士別翔雲。ほぼ毎夏、代表決定戦で顔を合わせるライバル校だ。

 ここ2年間は稚内大谷が連敗。さらに24年秋、25年春はコールド負けを喫した。田中遥斗主将(3年)は「夏は絶対勝とうとチームで気持ちを固めた」。

 三回裏、稚内大谷が失策や暴投に乗じ、1安打で先取点をもぎ取る。その後、両エースの投手戦となったが八回表、士別翔雲が3長短打に犠打、犠飛を絡めて逆転。大橋広翔投手(3年)が気迫の102球で締めた。

 士別翔雲の渡辺雄介監督は「稚内大谷あっての士別翔雲。なんとか追い付きたいとここまでやってきた。良いライバルです」と好敵手をたたえた。学校だけでなく、名寄地区の悲願達成のため、甲子園をめざす。

 士別翔雲の大塚叶夢主将 絶対に1点差のゲームになると思っていた。後半までどうなるかわからなかったが、粘り強くやれた。甲子園で校歌を歌いたい。

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