日本生命保険から三菱UFJ銀行に出向していた社員が同行の内部情報を無断で持ち出していた問題で、日生は12日、調査結果を公表した。無断で取得した出向先の情報は7金融機関で計604件に上り、目的については「銀行の業績拡大、ひいては当社の業績拡大、出向者の定性的評価につながるとの期待があった」と説明した。
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保険業法に基づく報告徴求命令を出していた金融庁にも同日、報告したという。
日生はこの日に会見を開き、赤堀直樹副社長は「銀行への出向者による不適切な手段での情報取得事案について、お客様をはじめとする関係者の皆様にご迷惑とご心配をおかけしていることを深くおわび申し上げます」と謝罪した。
日生の発表などによると、出向者は銀行などの内部情報を私用のスマートフォンで撮影し、LINEで日生側に送るなどしていた。日生で銀行営業を担う金融法人部の担当者は、銀行側への「逆流厳禁」という文言を画像データにつけるなどして資料を作成。出向者の管理を担う金融法人業務部や役職員にも広く共有していた。
情報には、保険販売に関する銀行の業績や執行方針、行員の業績評価基準、他の生保の商品改定情報などが含まれていた。出向先の上司らの許可は得ずに持ち出しており、日生は「営業秘密の侵害」を禁じる不正競争防止法の趣旨に照らして不適切だったと判断した。
無断持ち出しは、2019年5月~25年2月に、三菱UFJ銀や複数の地方銀行など7金融機関で確認され、計604件に上った。最多は三菱UFJ銀だったという。
出向者は「ミッションと認識」
調査対象とした出向者109…