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記念館に隣接し、国の登録有形文化財(建造物)に登録された川端龍子の自宅=2024年4月3日午前11時20分、東京都大田区南馬込4丁目、滝沢貴大撮影
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 浅草・浅草寺本堂の天井画などで知られる近代日本画の巨匠・川端龍子(りゅうし)(1885~1966)の旧邸とアトリエ、隣接する龍子記念館(いずれも東京都大田区)が3月、国の登録有形文化財に登録された。記念館では、龍子の芸術理念「会場芸術」を象徴する大画面の作品を集めた企画展が開かれている。

 龍子は現在の和歌山市で生まれ、10歳のころに上京。洋画を学んだのち、日本画に転向した。「展覧会場の壁面で見せる以上、特定の少数者のためではなく、広く大衆にうったえるべきである」と考え、当時は珍しい大画面の日本画作品を次々に発表し、人気を博した。1959年には文化勲章を受章した。

 企画展「大画面の奔流 川端龍子の『会場芸術』再考」は、大画面の作品を中心とした140点と、資料3千点を展示。日中戦争が泥沼化するなかで描かれた「花摘雲(はなつむくも)」(40年)、終戦の年に描かれた、疲弊した竜の図「臥龍(がりゅう)」(45年)など、描かれた時代背景に思いをはせながら名作を味わうことができる。

 木村拓也・副館長によると…

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