第106回全国高校野球選手権大会(朝日新聞社、日本高校野球連盟主催)の組み合わせ抽選会が4日、大阪市北区のフェスティバルホールであり、山梨代表の日本航空は1回戦で、静岡代表の掛川西と対戦することが決まった。大会第4日第4試合(10日午後3時45分の試合開始予定)となる。
抽選会では各代表校の主将が、予備抽選で決まった順に本抽選に臨んだ。
日本航空の藤森友基主将(3年)は25番目にくじを引き、対戦相手が決まるのを待った。その後、36番目にくじを引いた掛川西と初戦を戦うことになった。日本航空と同じく「泥臭い野球」を合言葉とするチームだ。
両校は毎年、練習試合をして交流があり、日本航空の豊泉啓介監督は「知っている選手が多くいる」。掛川西の大石卓哉監督は「甲子園で試合ができるご縁に、非常に感激している。(日本航空について)総合力の高いチーム。高校生らしく野球にひたむきな姿が印象的」と話した。
選手同士のつながりもある。日本航空の4番打者・小林幹汰選手(3年)は、浜松市の中学出身。掛川西のベンチ入りメンバーには中学時代、同じチームで一緒にプレーした選手が何人もいる。
その一人、掛川西の山下陸人主将(3年)は「お互いに甲子園に出場できたのも運命だし、初戦で戦えるのも神様が与えてくれたものだと思う」と語った。
山梨大会の開会式で選手宣誓をした藤森主将は、甲子園の選手宣誓にも立候補したが、くじに外れた。(豊平森)
日本航空(山梨代表 3年ぶり7回目)
山梨大会の決勝で、昨年の代表校・東海大甲府を破った。
ともに速球で押し込むエースの左腕・高木秀人と右腕・柳沢拓輝ら投手層は厚い。打線の中心は平井湊人、小林幹汰、金子優馬、雨宮英斗で、山梨大会通算打率は4~5割台。チャンスに強い。ともに3年のレギュラー、金子竜馬と金子優は10カ月違いの兄弟だ。
スローガンは、投打ともに粘り強く戦う「日本一泥臭いチーム」。準々決勝の帝京三戦では、リードされていた九回裏の土壇場に追い付いて延長タイブレークに持ち込み、2点を追う十一回裏に逆転サヨナラ勝ち。2度の「奇跡」(豊泉啓介監督)で勢いに乗った。
豊泉監督は卒業生。現役だった2002年に夏の甲子園に出場した。(豊平森)
掛川西(静岡代表 26年ぶり6回目)
夏の甲子園は26年ぶり6回目。試合の流れを容易に渡さない堅い守りとエース高橋郁真らの粘り強い投球で、静岡大会では6試合で9失点にとどめ、複数失点のイニングはない。高橋は緩急をつけた投球で要所を締め、決勝など3戦で完投した。
チーム打率は3割4分。準々決勝から3戦連続で2桁安打を放ち、「ここぞ」の場面ではピタリと決まった選手起用で打線がつながった。勝負強い中軸の堀口泰徳は、チーム最多の犠打7を記録しながら5打点を挙げた。最大の強みは主将の山下陸人を中心にした「チーム力」だ。
1901年創立の県立校で同年に創部した。掛川城天守閣のふもとにあり、地元はわいている。卒業生にパラリンピック走り幅跳びメダリストの山本篤さんらがいる。(斉藤智子)
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日本航空・藤森友基主将 静岡は強いチームが多い印象で、掛川西はそこを勝ち抜いてきた。山梨大会通り、気負わずに戦いたい。終盤の粘り強さ、「日本一泥臭いチーム」のスローガンは変えず、チーム全員で戦う。(豊平森)
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日本航空・豊泉啓介監督 掛川西とは毎年、練習試合をしている。伝統校で、静岡大会でも粘り強くいろんな作戦を駆使して戦っている。しっかり情報収集して、守りからリズムを作りたい。まさか隣県と当たるとは思わなかった。
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掛川西・山下陸人主将 粘り強いのが自分たちの持ち味。最少失点、後半勝負でいきたい。泥臭さで譲れない部分はある。気持ちで絶対負けない。相手もいい投手だが、真っ黒になって1点をもぎ取る、泥臭い野球を最後までやり切りたい。
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掛川西・大石卓哉監督 日本航空は、強豪がひしめく山梨県を勝ち抜いたチーム。自分たちの足元を固めることが最大の準備だ。泥臭い野球を体現できるよう、今まで地道にコツコツやってきたことを、徹底的にやり通して本番を迎えたい。