ノルウェー・ノーベル委員会のヨルゲン・ワトネ・フリドネス委員長=2024年12月6日、オスロ、藤原学思撮影

 日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)に10日、ノーベル平和賞が授与されます。ノルウェー・ノーベル委員会のヨルゲン・ワトネ・フリドネス委員長(40)のインタビューからは、自らの経験と被団協の活動を重ね合わせ、「記憶」に強いこだわりを持っていることがうかがえます。前回のインタビューに続く、主なやりとりは以下の通り。

インタビュー前半はこちら

フリドネス委員長は、オスロのノルウェー研究所にある一室で朝日新聞の単独取材に応じました。インタビュー前半では、1945年8月をめぐる10歳の娘とのやりとりについても語っています。
原爆「また起こるの?」、10歳娘は聞いた ノーベル委員長単独取材

 ――今回の授賞については、核保有国の反応が鈍かったことが残念でした。

 私のメッセージは「人道的な影響を忘れるな」というものです。核保有国は、私たちの文明の未来について賭けをしているようなものです。(米ロ英仏中が加盟する)核不拡散条約(NPT)を批准している国は、それに従う必要があります。また、(日本などの)非核保有国については、(核兵器を全面的に禁じる)核兵器禁止条約に署名、批准するべきです。

 ――いかなる道筋を踏めば、記憶は平和に寄与できると考えていますか。

 何が起きたか認識し、記録し、有意義に前進していくための道をつくる。言葉で言うのは簡単かもしれませんが、歴史がはっきりと示しているのは、多くの被害者たちが汚名を着せられてきたということです。

 私たちは被害者たちの声を聞かなければなりません。他者の苦しみや悲しみ、嘆きから目を背けるのは、ごく自然なことです。ただ、声を聞かなければ、私たちを隔ててしまう「理解の層」が生まれてしまいます。しっかりと、長い時間をかけて耳を傾ける。そうすることで、過去の過ちから学ぶことができるのです。

著書「ひとりでは生きられない」で伝えたかった「責任」

 ――著書「No Man I…

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