@花蓮(台湾)
4月の大地震で台湾東部・花蓮県に出張したとき、先住民族アミ族の七脚川部落に足を延ばした。部落の長である「頭目(トウムー)」を務めたこともあるローオさん(89)が思いがけず日本語で「東京からよく来た」とねぎらってくれた。アミ族はもともと文字を持たない。日本統治時代に日本語の教育を受けたという。
ローオさんが生まれる前、この部落は日本に武力弾圧された歴史もある。彼の名前はアミ族の言葉で「バナナの木の芯」という意味だが、当時は「ムラタジロウ」と呼ばれていたという。台湾を支配していた当時の日本が異境の言葉や文化を変えたことを思い起こし、私は気後れした。
でも、彼は笑顔で「いつもご…