Smiley face

 離島防衛を想定した陸上自衛隊と米海兵隊による日米共同訓練が、11~25日の日程で8道県で行われている。過去最大規模の日米計1万9千人が参加し、米軍の最新ミサイルが持ち込まれるなど、米側の積極的な姿勢が目立つ。自衛隊の「南西シフト」も加速する中、目に見えて進む軍事強化への地域の不安も表面化しつつある。

写真・図版
共同記者会見後、握手する陸上自衛隊の鳥海誠司・西部方面総監(右)と在沖米軍のロジャー・ターナー海兵隊中将=2025年9月17日午後4時20分、沖縄県石垣市の石垣駐屯地、伊藤和行撮影

 「共同訓練は、あらゆる潜在的脅威や侵略行為に対し迅速かつ断固たる対応をとるという明確なメッセージだ。地域の安定を脅かすあらゆる敵に対して日米が一体となって協力する態勢を整えている」。沖縄県石垣市で17日に行われた陸自と米軍の共同記者会見で、在沖米軍トップのロジャー・ターナー4軍調整官(海兵隊中将)は強調した。

 今回の日米共同訓練「レゾリュート・ドラゴン」では、米軍が多種多様な最新鋭ミサイルシステムを日本国内に展開している。米軍岩国基地(山口県岩国市)では中距離ミサイル発射システム「タイフォン」を国内初展開。石垣島には地対艦ミサイル「ネメシス」、地対空システム「マディス」を搬入した。有事の際に米軍のミサイルを南西地域に即時展開できる能力を示す狙いとみられる。

  • 【読み解く 世界の安保危機】徐々に台湾に近づく米海兵隊と米陸軍の「切り札」

 タイフォンもネメシスも、陸自が今年度から配備する12式地対艦誘導弾の「能力向上型」ミサイル(射程1千キロ程度)と連携し、日米間の射撃システムの確認も行われる見通しだ。

 米海兵隊の「フォース・デザイン2030」によれば、海兵隊は九州から沖縄、フィリピンを経て南シナ海を囲むように延びる「第1列島線」の内側で中国軍の動きを偵察し、台湾などへの接近を阻止する「スタンドイン部隊」としての役割を担う。

  • 第1列島線内での戦術と装備を整えつつある米軍 浮かぶ4つの疑問
写真・図版
米軍が公開した地対艦ミサイル「ネメシス」(右端)と地対空システム「マディス」(中央、左端)=2025年9月17日午後3時12分、陸上自衛隊石垣駐屯地、伊藤和行撮影

 代表的な部隊である沖縄県の米海兵沿岸連隊(MLR)が7月から訓練を始めたネメシスは、主に射程200キロ程度の短距離ミサイルを使う。一方、タイフォンが使用するトマホーク巡航ミサイルは射程約1600キロ。米陸軍は昨年4月にフィリピンで行った米比共同軍事演習でもタイフォンを展開し、そのままルソン島北部に配備し続けている。

 レゾリュート・ドラゴンは2…

共有