6日に死去した国際政治学者のジョセフ・ナイ・ハーバード大特別功労名誉教授は、米政権の内外から日米同盟の強化に大きな影響を与えてきた。先月13日にはナイ氏とともに米知日派の重鎮として知られてきたアーミテージ元国務副長官も死去したばかりで、日米関係の一つの時代の終わりを象徴するとの見方も出ている。
ナイ氏は1990年代、クリントン政権で国防次官補として、「日米安保の再定義」と呼ばれる日米の安全保障協力関係の立て直しで中心的役割を果たした。
- ソフトパワー提唱のジョセフ・ナイ氏が死去 知日派の国際政治学者
ソ連の崩壊と冷戦終結後、日米は安保条約に基づく同盟が何のために存在するのか、との根源的な問いを突きつけられた。そんななかナイ氏は95年の「東アジア戦略報告」で、米国の経済的利益も踏まえ、東アジアにおける米軍10万人体制の維持を打ち出した。「日本との関係ほど重要な二国間関係はない」とし、アジア地域の安定のための日米同盟の重要性も訴えた。このことが、96年に橋本龍太郎首相とクリントン大統領(いずれも当時)が「日米安保共同宣言」で、日米の安保協力が21世紀も「アジア太平洋の平和と安定の基礎」だと確認することにつながった。
ナイ氏は政権を離れた後も…