広島県呉市の日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区(日鉄呉)跡地に「多機能な複合防衛拠点」を整備する防衛省の計画について、新原芳明市長は16日の市議会協議会で、受け入れる考えを正式に表明した。雇用や交流人口の拡大などにつながるとして「できる限りの早期整備が図られるよう防衛省に要望したい」と述べた。
市議会協議会では市の方針を了承するか裁決があり、大半の議員が賛成した。「基地増強は賛成できない。平和産業を誘致すべきだ」などとの反対意見もあった。
日鉄呉は2023年9月に閉鎖され、跡地利用が課題となっていた。防衛省が24年3月に約130ヘクタールの敷地を一括購入し、複合防衛拠点を整備する計画を明らかにした。今年3月には防衛装備の生産や研究を担う民間企業の誘致や防衛装備庁の研究関連施設、火薬庫など機能配置(ゾーニング)の最終案を示していた。
日本製鉄広報室の担当者は取材に「呉市から直接説明を受けているものではないので、コメントは差し控える」と話した。跡地の利活用については「防衛省案の検討を継続していく。検討にあたっては引き続き広島県、呉市と連携、協議したい」と述べた。