線路上を自由に行き来するヤギたち=2024年9月7日午後2時49分、島根県美郷町都賀本郷、高田純一撮影

 「メー、メー」。廃線から7年が経ったJR三江線の旧石見都賀駅(島根県美郷町)。3月25日、今も残るホームの下からヤギが次々に出てきた。合計5頭。さび付いたレール付近を歩き、生い茂る雑草を食べ始めた。

 近くで農家民泊を営む田辺裕彦さん(67)、和佳子さん(63)夫妻による「放牧」だ。ねらいは雑草の繁殖を抑え、良好な景観を維持すること。田辺さんが会長を務める都賀本郷連合自治会(約260人)が町の委託を受けて旧駅周辺の雑草を取り除いているが、旧駅は盛り土をして整備され、ホームと線路の両側は急な斜面になっている。ヤギなら楽々と動けるといい、除草対象約2ヘクタールのうち3割程度がヤギの担当だ。

 広島、岡山両県を結ぶ赤字ローカル線、JR芸備線の一部区間について、将来のあり方を探る議論が続いています。仮に廃線となった場合、地域はどうなるのか。2018年に廃線となったJR三江線(広島・三次―島根・江津)の地元の現状をリポートします。

 田辺さんは「除草は地域主体で進めるのが理想的。廃線跡地が存在する限り、管理しながらプラスアルファになる取り組みをしたい。ヤギが景観維持に貢献していることが話題になり、多くの人に跡地利用を考えてもらえれば」と期待する。

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