似顔絵を囲むように花などで埋め尽くされた献花台=2024年6月30日、北海道旭川市の永山中央公園

 北海道旭川市で4年前、いじめを受けて自殺した中学2年広瀬爽彩(さあや)さん(当時14)の遺族が市に約1億1500万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が6日、旭川地裁(上村善一郎裁判長)で開かれた。市側は争う姿勢を示した。どの点を争うかについては説明を拒んだ。

 訴状によると、広瀬さんは入学当初から、同級生から差別的な言動などのいじめを受けていた。

 原告側は、学校が生徒や養護教諭らへの聞き取りなどをしていれば早期に認知できていたと指摘。性被害を認識してからも、学校や市教委はいじめとして対応せず、広瀬さんの発達特性や家庭の問題などとして事態を矮小(わいしょう)化したとし、「いじめを漫然と放置したことは安全配慮義務違反にあたる」と主張した。

 この日の法廷では、双方が証拠の書類を提出し、5分で終了。主張は語られなかった。

 閉廷後の取材に、市教委の担当者は、争うことは認めたものの、争点となりうる安全配慮義務違反や賠償額に関する市側の考えについては「係争中につき話せない」と繰り返した。答弁書についても「個人情報」を理由に地裁に閲覧制限を申し立てているとして、概要の説明をしなかった。

 原告側の訴状は、個人情報の部分が黒塗りで伏せられた状態で地裁で閲覧できる。原告代理人の弁護士は「市側の方針がまだ全て示されておらず、原告としての対応方針もコメントできる段階にない」とした。また、「静かに見守ってほしい」という遺族のメッセージを紹介した。

 広瀬さんを巡っては、市教委の第三者委員会がいじめがあったことは認定したものの、自殺との因果関係は不明と結論。遺族の求めで設置された市長直属の再調査委員会(尾木直樹委員長)が、学校や市教委の対応が適切であれば自殺を免れることができる可能性があったと厳しく批判した。

 広瀬さんが在籍した中学校の元校長は、集会や記者会見で「クラス内でいじめはなかった」「学校は丁寧に対応してきた。いわれなき非難だ」と反論している。

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