国立天文台の野辺山宇宙電波観測所(長野県)で観測されたスターリンクの光跡。左上から右下に向かって光の筋がある=国立天文台提供

 通信などで私たちの生活に欠かせない人工衛星が星空を脅かしている。天文観測に影響を与えているといい、科学者らは警鐘を鳴らす。

 明るすぎる街灯や不必要な照明によって、星が見えにくくなったり、動植物の生態系に悪影響が出たりすることは「光害(ひかりがい)」と呼ばれ問題になっている。

 約10年で毎年約10%ずつ夜空が明るくなっている――。ドイツ地球科学研究所などのチームは2011年から22年にかけて夜空の明るさを分析し、23年1月、米科学誌サイエンスに発表した。

 加えて、近年、急増する衛星による星空への影響が指摘されるようになった。太陽光が衛星に反射した光により、天体観測に支障をきたしているという。

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 国立天文台の周波数資源保護室長の平松正顕さんは「将来、星が見えなくなるかもしれない。夜空に浮かぶものが星ではなく、人工衛星というイメージが当たり前になりかねない」と危機感を示す。

 現在、世界で運用中の人工衛星は約9千基。内閣府によると、22年に打ち上げられた衛星などは世界で2368機で、10年で約11倍に増加している。

 増加の中心を占めるのが、基地局となる多数の衛星を打ち上げて、連携させて高速で大容量の通信サービス提供する「衛星コンステレーション」だ。牽引(けんいん)するのが米スペースX社の「スターリンク」で6千機以上が打ち上げられている。同社は今後4万2千基の巨大な通信網の構築をめざしている。

 これまでの調査によると、ス…

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