「104歳、哲代さんのひとり暮らし」の一場面©「104歳、哲代さんのひとり暮らし」製作委員会

 広島県尾道市の山あいの集落で暮らす石井哲代さん(104)の暮らしを描いた映画「104歳、哲代さんのひとり暮らし」が1月31日、県内で先行公開された。各映画館で少なくとも2週間は上映が続くという。

 石井さんは1920(大正9)年、現在の同県府中市で生まれた。小学校の教員となり、同僚と結婚して尾道市に移った。77年まで勤務して退職。子どもはなく、2003年に夫と死別してからは、近くに住む親類に見守られながら一人暮らしをしている。

 中国新聞での聞き書きの連載をもとにした書籍が23年と24年に出版され、大きな反響を呼んだ。

 映画は、石井さんが神戸市の介護老人保健施設で暮らす妹を訪ねる様子や、初めて担任した教え子たちの集まりに出席する様子などを交えながら、日々の生活を淡々とつづっている。

 中国放送(RCC)系の制作会社に所属する山本和宏監督(37)は、中国新聞の連載で石井さんを知り、22年春にテレビ放送用の取材を始めた。24年春までに20~30回にわたって石井さんの元に通って撮影した映像を、1本にまとめた。テレビでは放映できなかった様々な場面が登場する。

 石井さんは、朝日新聞くらし面「ひととき」に、投稿がたびたび掲載されてきた。17年の投稿に記された「さびない鍬(くわ)でありたい」という石井さんの信念は、映画の中で紹介される日記にも登場する。

 山本監督は「ユーモアをもって話し、良好な人間関係を築いている哲代さんに接して、こんな年の取り方をしたら素敵だなと思うようになった。それを哲代さんのキャラクターを通して、軽やかに伝えたい」と話している。

 上映が始まったのは、八丁座(広島市中区)、シネマ尾道(尾道市)、福山駅前シネマモード(福山市)、T・ジョイ東広島(東広島市)、呉ポポロシアター(呉市)。

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