海外との貿易や投資によるお金の出入りを示す2024年の経常収支は、29兆2615億円の黒字だった。黒字は前年より29.5%増え、17年ぶりに過去最高を更新。海外への投資によるもうけが円安で膨らんだ。ただ、もうけの一部は海外にとどまり、海外の巨大IT企業への支払いによる「デジタル赤字」も重なって、円安が解消されにくくなっている。
財務省が10日に24年の国際収支(速報)を発表した。経常黒字の最大の要因は、経常収支のうち、海外投資のもうけを示す第1次所得収支の黒字が、過去最高の40兆2072億円になったことだ。海外で稼いだドルなどの外貨が、円安によって円換算で膨らんだ。
一方、モノの輸出入を示す貿易収支は3兆8990億円の赤字で、3年連続の赤字だった。貿易収支は07年までは10兆円以上の黒字だったが、製造業の多くが海外に製造拠点を移し、エネルギーの輸入も増加。もうけの源泉が輸出ではなく、投資に変わったことが鮮明となった。
ただ、投資によるもうけの一部は、国内に戻ってきていない。
第1次所得収支のうち、海外…