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エルメス時計部門のローラン・ドルデCEO=エルメス提供
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 4月初旬にジュネーブで開催された世界最大規模の高級時計展示会ウォッチズ&ワンダーズ。期間中にエルメスの時計部門でCEOを務めるローラン・ドルデ氏が朝日新聞の単独インタビューに応じた。エルメスが今回の新作で発表した時計には、ボタンを押すと時針と分針が12時位置付近に納まって時刻が分からなくなる「タンシュスポンデュ」という特殊な機構が搭載された。これは「時間なんて気にしなくていい時もある」という、エルメスならではのユーモアな提案だ。そうした新作や、エルメスがどんな思いのもと時計をつくってきたのか、ドルデ氏に聞いた。

 ――今年の新作は、昨年発表した「エルメス カット」などに複雑機構をつけたものでした。カットは女性向けを想定して作られたものでしょうが、36ミリのケース径は、小ぶりな時計を好む日本では男性にも人気です。

 我々の時計はジェンダーを問いません。男性でも女性でも、いい時計、美しい時計だと思って、着用してもらえたらうれしいです。

 ――ただ、今回はタンシュスポンデュを搭載したこともあり(大きめの)39ミリのケースです。

 「アルソー タンシュスポンデュ」は2011年にジュネーブ時計グランプリ(GPHG)の最優秀メンズウォッチ賞を受賞した時計。エルメスが初めてGPHGの賞を取った作品でもあり、メゾンにとって特別なものです。

 コンセプトは「時と遊ぶ」。ユニークですよね。これを「エルメス カット」に搭載する意味がある、と思ったのです。39ミリというサイズは、タンシュスポンデュの機構を搭載するのにちょうどいいサイズでした。

 ――エルメスは今年に入って、一時モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンの時価総額を超えるというニュースもあり、ファッション業界全体を見渡しても「一人勝ち」に近いほど業績が好調です。そんななか、時計部門においてはどのような課題があると考えていますか?

「他のブランドは100年以上前から…」

 それを語るにはまず、エルメ…

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