最低賃金の今年の改定額が47都道府県で出そろった。徳島県では過去に類を見ない84円の引き上げとなり、衝撃が広がった。こうした背景には、人材流出を懸念した引き上げ競争の過熱がある。「後出し」の形になった県が最下位を逃れる様子を「チキンレース」と批判する声も上がる。
「プラス84円? 信じられない。地域経済の実態に合っているとは思えない」
中小企業団体の幹部は、徳島県の最低賃金が84円増の980円になると知り、驚きを隠さなかった。国側が示した50円という目安を大幅に超える異例の引き上げとなったためだ。
現状、徳島県の最低賃金は全国で2番目に低い。これに強い不満を示していたのが、後藤田正純知事だ。知事に最低賃金を決める権限はないが、後藤田氏は審議会に大幅アップを繰り返し要請してきた。
「全国ワースト2位という現…