今年度の最低賃金の改定額が出そろった。国の審議会が示した目安を全都道府県の8割が上回るなど高水準の引き上げとなったが、負の側面はないのか。北海道大の安部由起子教授(労働経済学)に話を聞いた。
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新しい最低賃金が、秋田などで例年より半年近くも遅れることになるのはなぜか。今年の審議過程で目立った「政治介入」が悪い方向に影響してしまったと考えている。
目安を決めた中央の審議会は今年、地方の審議で引き上げ額とともに発効日についても十分に議論するよう求めた。昨年までは見られなかった異例の呼びかけで、発効を遅らせる地方が相次いだ原因だ。元々、使用者側から10月の発効には、年末の就業調整を助長するとか、賃金表の書き換えが間に合わないといった批判はあった。
ただ、半年も先送りすること…