大阪地裁・高裁が入る庁舎=大阪市北区

 「一票の格差」が最大3倍超だった7月の参院選をめぐり、弁護士グループが投票価値の平等に反して違憲だとして、選挙の無効を求めた訴訟の第1回口頭弁論が17日、大阪高裁であった。被告となった選挙管理委員会側は請求を退けるよう求めて即日結審し、判決は10月24日に指定された。

 二つの弁護士グループが全国14の高裁・高裁支部に計16件起こした一連の訴訟で、弁論は初めて。原告側は格差は前回22年選挙より拡大し、「是正とは真逆の著しい後退だ」として、違憲無効だと訴えた。各高裁の判決が出そろった後、最高裁が来年にも統一判断を示す見通し。

 総務省の公表資料から計算すると、今回の参院選で議員1人を選ぶ当日有権者の数が最も多かったのは神奈川選挙区で、最少だった福井選挙区の3・13倍。神奈川の有権者の一票の価値は、福井の人の0.32票分しかなかったことになる。

 参院選の一票の格差は1995年から約5倍で推移し、最高裁は5・00倍だった2010年選挙と4・77倍だった13年選挙については、違憲の一歩手前の「違憲状態」と判断した。

 鳥取・島根と高知・徳島の合区によって約3倍に縮まった16、19、22年選挙は「合憲」としたが、格差是正の取り組みは必要だと指摘。だが抜本的な改正は19年から行われておらず、前回22年選挙(3.03倍)については、「喫緊の課題」と強い言葉で改革を促していた。

 原告側代理人の升永英俊弁護士(83)は「格差が3倍以上の有権者は約2100万人もいる。一票の価値の平等を実現して、国民の政治への参加意識を高めていくことが、国民主権への第一歩だ」と話した。

共有
Exit mobile version