記者コラム「多事奏論」 編集委員・後藤洋平
ファッション界では有名ブランドのデザイナー交代劇が話題だ。ヴァレンティノで長期間トップデザイナーを支えた人物が昨年グッチの顔役に就任し、反対に一昨年までグッチを統括していたデザイナーが今春、ヴァレンティノのデザイン部門トップに就任した。最近では他にもアレキサンダー・マックイーン、ジバンシィ、クロエなど各ブランドで、名うてのデザイナーたちが退任した。
どのブランドで誰がデザイナーを務めているのかは、多くの人の関心事ではないかもしれない。しかし、限られたデザイナーたちが、入れ代わり立ち代わり様々なブランドを行き来するケースが常態化している、と聞けばどうか。
例えばディオールのメンズとフェンディのレディースを手がけるデザイナーは以前ルイ・ヴィトンのメンズを担当していた。メゾン・マルジェラのデザインを担う人物は、かつてクリスチャン・ディオールのトップデザイナーだった。プラダで創業者の孫と共同でデザインする人物はジル・サンダー、ディオール、カルバン・クラインと渡り歩いてきた。
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