谷端さんが作った能舞台で、観客に小鼓について語る人間国宝の大倉源次郎さん(左)と竹市学さん=2024年10月30日午後3時40分、香川県観音寺市八幡町2丁目、内海日和撮影

 せり出した屋根の下に正方形の舞台。背景の羽目板には、立派な松が描かれている。そんな本格的な能舞台が、香川県観音寺市にある。

 所有者が亡くなって5年。使われる機会が少なくなっていた舞台を使い、地元の能文化を盛んにしようという取り組みが始まった。

 四国有数の観光地「銭形砂絵」で知られる琴弾公園。松林を抜けると、広いお屋敷がひっそりと立つ。看板には「雅之郷(みやびのさと)」と記されている。

 10月30日、屋根のついた門をくぐって奥に進むと、能舞台で能楽囃子方(はやしかた)小鼓の人間国宝大倉源次郎さん(67)と、笛の竹市学さん(52)が美しい音色を響かせていた。

 元の所有者は、関西を拠点に活動していたファッションデザイナーの谷端慶子さんだった。

デザイナーが数億円かけて作った能舞台

 趣味で始めた能に魅了され…

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