4月20日付朝日歌壇の入選歌40首をお届けします。選者は高野公彦さん、永田和宏さん、川野里子さん、佐佐木幸綱さんです。☆は共選作です。
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高野公彦選
ガザを見る我らの目だったマンスール氏逝って暫(しばら)く現地が霞む(熊谷市)飯島 悟
米・露共謀終戦にしない停戦案終われば軍需の火も消え果てる(八幡浜市)木村 瞳
☆来賓は卒業生の三倍で地域の宝八人を祝う(竹田市)伊藤信一郎
しだれ桜を囲む人人人の輪の真中に立ちて幹の静謐(せいひつ)(埼玉県)小林 淳子
妹と歩く銀閣寺言葉などいらない春の神秘の時間(富山市)松田 梨子
ビール売る少女も見上ぐオオタニの東京ドームの大ホームラン(観音寺市)篠原 俊則
いつからか私のことを「ちゃま」と呼ぶ孫ら四人とぼたもち食べる(春日井市)神戸 豊子
色違いのお守り買ってはしゃいでる姉とふわふわ京を旅する(富山市)松田 わこ
高安のしこ名は長く残るべし優勝決定戦に三度敗れて(静岡市)鷲巣 錦司
ゴビ砂漠より海越えて舞い降りし黄砂が作る雪の風紋(五所川原市)戸沢大二郎
【評】1首目、朝日新聞の現地通信員だったマンスールさんの逝去を悼む。2首目、米ロの政治的交渉の裏側に思いを馳(は)せる。なるほど、戦争が完全に終われば軍需産業は倒産してしまうだろう。3首目、少子化の進む地域での卒業式の様子。
永田和宏選
あと何回サインできるか妻の…