朝日俳壇の4選者。左から永田和宏さん、佐佐木幸綱さん、川野里子さん、高野公彦さん=2025年3月7日午後0時7分、東京都中央区、杜宇萱撮影

 4月20日付朝日歌壇の入選歌40首をお届けします。選者は高野公彦さん、永田和宏さん、川野里子さん、佐佐木幸綱さんです。☆は共選作です。

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高野公彦選

 ガザを見る我らの目だったマンスール氏逝って暫(しばら)く現地が霞む(熊谷市)飯島  悟

 米・露共謀終戦にしない停戦案終われば軍需の火も消え果てる(八幡浜市)木村  瞳

☆来賓は卒業生の三倍で地域の宝八人を祝う(竹田市)伊藤信一郎

 しだれ桜を囲む人人人の輪の真中に立ちて幹の静謐(せいひつ)(埼玉県)小林 淳子

 妹と歩く銀閣寺言葉などいらない春の神秘の時間(富山市)松田 梨子

 ビール売る少女も見上ぐオオタニの東京ドームの大ホームラン(観音寺市)篠原 俊則

 いつからか私のことを「ちゃま」と呼ぶ孫ら四人とぼたもち食べる(春日井市)神戸 豊子

 色違いのお守り買ってはしゃいでる姉とふわふわ京を旅する(富山市)松田 わこ

 高安のしこ名は長く残るべし優勝決定戦に三度敗れて(静岡市)鷲巣 錦司

 ゴビ砂漠より海越えて舞い降りし黄砂が作る雪の風紋(五所川原市)戸沢大二郎

 【評】1首目、朝日新聞の現地通信員だったマンスールさんの逝去を悼む。2首目、米ロの政治的交渉の裏側に思いを馳(は)せる。なるほど、戦争が完全に終われば軍需産業は倒産してしまうだろう。3首目、少子化の進む地域での卒業式の様子。

永田和宏選

 あと何回サインできるか妻の…

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