4月27日付朝日歌壇の入選歌40首をお届けします。選者は永田和宏さん、川野里子さん、佐佐木幸綱さん、高野公彦さんです。
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永田和宏選
時間とは死との間合いで変速し遠くは遅く近くは早く(筑紫野市)二宮 正博
フランシーヌの話を誰ともしなかった 世界がこんなに酷(むご)い三月(東村山市)さいとうすみこ
コリー・ブッカー長演説の締めは良し「左、右ではない!正しいかどうかだ!」(八尾市)宮川 一樹
いつもより一つ手前のバス停を降りて今年の夜桜に逢う(市川市)松丸 史佳
つちふるの予想通りに生駒山稜線霞みハルカス煙る(東大阪市)川田 聴子
タマノホシザクラ六輪数えし日多摩には多摩の開花宣言(八王子市)額田 浩文
「お母ちゃん、お水、おいしいねぇ」と弟死ぬ原爆八〇年の広島の女性(ひと)(生駒市)辻岡 瑛雄
知ってるよちびまる子ちゃんでやっていたカセットテープ見て生徒言う(岡崎市)戸田 陽子
わが歌に関心ないがシュレッダーの故障なおせる頼もしき妻(仙台市)沼沢 修
3・30の歌壇丁寧に切り取りぬ二度と見られぬ「馬場あき子選」(一宮市)園部 洋子
【評】二宮さん、歳(とし)によって、時間の長さが明らかに違う。それを「死との間合い」に逆比例と捉えたところが見どころ。さいとうさん、ビアフラの飢餓に抗議して焼身自殺をした「フランシーヌの場合」。今の状況でその話をする気にもなれない。
川野里子選
喜声あげ一気に天を閉じてゆ…