5月18日付朝日歌壇の入選歌40首をお届けします。選者は佐佐木幸綱さん、高野公彦さん、永田和宏さん、川野里子さんです。
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佐佐木幸綱選
牧場の牛の爪切り依頼せし獣医ペットの山羊連れて来る(沼津市)石川 義倫
マンションの敷地に深夜響く歌 宴会帰りの夫の声だ(奈良市)小山寿美代
片時も離さなかったぬいぐるみ入学の日にそっと置かれる(朝霞市)小峰 拓朗
カセットの交換に似てマンションの隣の家族が入れ代わりたり(つくば市)藤原 福雄
日本の戦史を死者に語らせる遊就館を訪えば疲れる(東京都)野上 卓
起きぬけに香水一振り雰囲気を着替えるとこから勝負始める(柏市)伊藤 智紗
三月ほどツバメに宿を貸しており掃除蛇除け家主の仕事(金沢市)伊東 平隆
高校入試失敗しました音沙汰ない生徒からやっと届いたメール(岡崎市)戸田 陽子
妹は「星に願いを」弾きながら週末の夜の扉を閉める(富山市)松田 梨子
深い息で北条民雄を読み終えるトランプトランプと騒がしい世に(浦安市)中井 周防
【評】第一首、ペットの山羊をつれてやってくる獣医さん。彼(だろう)の人柄が伝わって来る。第二首、上句、明快でうまい。たぶん週に一、二回は聞こえるのだろう。第三首、何年ものあいだ、いつでも抱いていたぬいぐるみだろう。
高野公彦選
かの日には五十人学級五組あ…