7月6日付朝日歌壇の入選歌40首をお届けします。選者は佐佐木幸綱さん、高野公彦さん、永田和宏さん、川野里子さんです。☆は共選作です。
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佐佐木幸綱選
サウンドの宝庫のような楽器店明大通りにギターひしめく(三鷹市)大谷トミ子
珍しくコンピューターを切ってみる手書きの書類書いた日浮かぶ(名古屋市)小城 勝相
☆袋には十の言語で「もやすゴミ」そういう彼らと生きている町(小山市)木原 幸江
定年を過ぎても働かざるを得ずやせ細りゆく母の横顔(東京都)富尾 なつ
カラフルな異国の言葉に囲まれて折り紙を買う銀座伊東屋(柏市)伊藤 智紗
ときおりは白鷺青鷺あそばせて田んぼはきょうも一生懸命(新潟市)太田千鶴子
☆新しい星を作っているみたい炎色反応実験のとき(奈良市)山添 葵
二段ベッド導入論が盛り上がり川の字で聞く寝息が愛しい(朝霞市)小峰 拓朗
A五判九百ページの三行に祖父は眠れり連隊史の中(中津市)瀬口 美子
判決の前夜は飲めぬ酒飲むと裁判官の友はぽつりと(厚木市)矢下 育子
【評】第一首、「明大通り」は、御茶ノ水駅から駿河台下までの通り、楽器店が多い。第二首、多くの日本人がコンピューターを付けっぱなしの毎日を送っている。第三首、栃木県小山市は外国人労働者が多い街として知られている。
高野公彦選
スニーカーもサンダルもいて…