高知工科大(高知県香美市)に企業名を冠した研究所が初めて開設され、15日に開所式があった。「デンケン未来光技術研究センター」と命名され、企業側から研究費を得て、液晶を使った光技術の共同研究をする。
半導体の組み立てなどを手がける会社「デンケン」(大分県由布市、社員約500人)が研究費を出資する。池上浩特任教授(55)=レーザー加工学=がセンター長に就き、デンケン社員1名も客員研究員に加わる。昨年秋から研究活動を始めており、大学の研究棟の一室を研究所にした。
開所式では、開発中の顕微鏡カメラ「時間制御型瞳分割(ひとみぶんかつ)偏光顕微鏡」のデモンストレーションもあった。光の通り道に液晶を使い、電気制御しながら観察対象の立体的な構造まで一瞬で判別する装置で、世界に例がないという。微細な電子部品の品質検査や、霧や雪のなかで使える車載カメラなどへの活用が期待できるという。
香南市出身で2023年4月に着任した池上特任教授が、直前に勤務していた九州大でデンケンから産学連携の相談を受けたのが開所のきっかけ。
開所式に出席したデンケンの石井源太社長(52)は「工科大の研究力と弊社の総合モノづくり力のマッチングで、研究成果の社会実装が加速すると確信している」と語った。