雷電の控室では、黒沢咲が「すごい選択、本当すごい」と声をうわずらせ、萩原聖人が「見事だったね、よく5マン選んだな」としみじみ語った。
レギュラーシーズン突破へ望みをつなぐトップまで、あと一歩――。
麻雀(マージャン)の華である役満が、今季のMリーグではまだ出ていない。「北陸の役満プリンス」と呼ばれる雷電・本田朋広が、レギュラーシーズンの最終盤、その名にふさわしい盛り上がりを生んだ。
元Mリーガーの朝倉康心プロは「途中までのバランス感覚と、いざという時に突き進める力があったからこそ、こういう場面が生まれた」と振り返る。
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牌(はい)図はドリブンズ・浅見真紀、雷電・本田、ビースト・猿川真寿、フェニックス・魚谷侑未による3月21日の第1試合南4局2巡目。
残り数試合となったレギュラーシーズンで、各チームなんとしてもトップが欲しい1戦。特に雷電、ビースト、フェニックスはセミファイナル進出をかけて争う立場だった。本田は、トップ目の魚谷と1万4200点差があり、跳満ツモなどの重い条件が残る。
朝倉プロは「配牌の段階では、ドラの9ピンを使った上で、混一色(ホンイーソー)か、同じ牌を重ねる縦系の手で七対子(チートイツ)などを狙うかという構想」とみた。
2巡目、2マンが重なったことで2ピン、1ピンとペンチャン待ちを払い、縦の進行を始める。
「ここからはかなり意識的に、重なりそうな牌と打点の高くなる道を探しているように見える。重なる前に残している牌が特徴的で、まず、赤5ピンが重なることを期待しての5ピンとドラの9ピン。4巡目に引いた8マンは1巡目に9マンを2人が切っており、他の人の手牌に使われていない可能性が高いので残している」と朝倉プロは解説する。
8巡目、残り3枚が全て牌山にある5マンをツモり、8マンを切る。朝倉プロは「5マンがめちゃくちゃいいという情報はなさそう。3マンを4巡目に捨て、直前に4マンをツモ切っているので上家の浅見さんは比較的持っていなさそうだが、他の2人は持っていても全然おかしくない」とみていた。
その後、ドラが続けて切られ、9巡目にドラを手放した。
そして11巡目、2マンをツ…