日本で数々の建築設計を手がけたほか、医薬品販売や教育、社会事業などキリスト教伝道を通じ幅広く活動した米国出身のウィリアム・メレル・ヴォーリズ(1880~1964)。彼の来日120年に当たる今年、建築の活用議論や顕彰など、さまざまな動きが出ている。

奈良で唯一残るヴォーリズ建築

 「居心地がよく、風土に溶け込んだデザインで、彼の精神性が反映された建築だ」

奈良県で唯一残るヴォーリズ建築の住宅=2025年4月、奈良市高畑町

 7月6日に奈良市で開かれた「高畑・旧栗盛吉蔵邸の保存・活用を考えるフォーラム」。登壇した大阪芸大名誉教授の山形政昭さん(75)が、同市高畑町に県内で唯一残るヴォーリズ建築の住宅について、こう評した。

 日本画家の栗盛吉蔵(1897~1974)が、志賀直哉ら文化人が集ったこの地区に自宅を建てたのは1934年ごろ。書院風の円窓のある和洋折衷の意匠が特徴だ。

 この家は後に人手に渡り、長く空き家となっていたが、今春に大和ハウス工業が購入。解体を予定していたが、保存を求める声の高まりを受け、当面は見合わせることが決まった。

 山形さんは資料館やカフェなどとして活用される各地のヴォーリズ建築を紹介した上で、栗盛邸の保存活用には「どんな担い手が、どういう特色を発信していくか、持続的に運用できる活用法を考える必要がある」と指摘。会場を埋めた約100人の参加者が聴き入った。

記事の後半では、ヴォーリズ記念館などへの取材のほか、作家の玉岡かおるさんにヴォーリズ夫妻について聞いたインタビューを掲載しています。

山の上ホテルを継承

明治大学が購入し、活用計画が進む山の上ホテル本館=東京都千代田区神田駿河台

 多くの文豪が執筆の場とした…

共有
Exit mobile version