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教育問題

 東京書籍が、今年発行した中学社会の教科書「新編 新しい社会 歴史」(発行部数約54万部)で、熊本地震(2016年)の死者数を「50人」とし、災害関連死などを含めていなかったことが分かった。熊本地震では災害関連死の228人を含め、計278人が亡くなった。

 東京書籍は不適切な説明とし、訂正などを検討している。

 文部科学省によると、中学社会の歴史の教科書として全国で使われるシェアを示す採択率は49.5%で1位。

 東京書籍によると、国内の大きな地震災害をまとめた年表や、地震の写真説明で、熊本地震の死者数を50人としていた。阪神淡路大震災や東日本大震災は災害関連死を含めていた。

 作成時に引用した他社の資料には直接死と災害関連死の人数が別々に記されていたが、直接死の人数だけを使ってしまったという。担当者は取材に、確認不足で「大いに反省すべき点」とした。

 年表は2021年発行の教科書にも使われており、こちらも訂正などを検討するという。

 文科省によると、教科書検定では当該箇所を誤りとは指摘していなかった。「災害関連死を含む」と書いていないため誤りとはいえず、「指摘は難しい」と担当者は説明する。

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