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「不健全図書」の名称変更を求め、漫画家有志らが東京都議会へ提出した要望書

 過激な暴力や性描写があるとして18歳未満への販売を禁止する図書について、東京都はこれまで使ってきた「不健全図書」との名称を一部で変更した。「不健全」という言葉の印象が悪く、本来は規制の対象ではない成人向けの販売にも影響を与えているとして、漫画家らが変更を求めていた。

 各地の道府県で規制対象の図書について「有害図書」といった名称を使って指定しており、作者側は都の改称によって、全国で見直しが進むことを期待している。

 こうした図書は条例に基づき、都が定期的に指定している。「著しく性的感情を刺激」「甚だしく残虐性を助長」「自殺や犯罪を誘発」するような図書については、子どもが容易に中身を見たり購入したりできないよう、ビニールでの包装や、区分陳列などが義務付けられる。

 指定されても成人向けの販売は制限されないが、書店や通販サイトが自主的に取り扱いをやめるケースがあるなどとして、漫画業界からは「事実上の発行禁止だ」との批判が出ていた。

 都は9日、指定図書を審査する審議会の資料で、「不健全図書」との名称を使わず、条例名に沿って「東京都青少年の健全な育成に関する条例第8条の規定による図書」と表記した。

 都によると、指定図書の一覧が載った都のホームページや公報、出版社への通知文書など、対外的な広報物で同様に名称を変えるという。

 ただし条例は改正しないため、条文には「不健全図書」の文言が残り、指定の運用も変えない方針としている。

「はじめの一歩」作者らの要望実る「大きな進歩」

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 都による今回の名称変更の背…

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