東北大学は、福島県浪江町に新たな研究拠点を設け、新しい産業の創出や交流人口の増加を通じて被災地の復興を後押しする構想をまとめた。来年度から農業振興や災害科学などの研究に取り組む。
冨永悌二総長が、同町役場で吉田栄光町長とともに10日に会見し、明らかにした。同大は、「FUKUSHIMAサイエンスパーク構想」を掲げ、県と浜通りの5市町と連携協定を結び、新産業の創出や人材育成を進める。
町が旧浪江小学校の跡地に整備を進める町立産学官連携施設で2026年度から研究を始め、27年度には学生らが100人程度宿泊できる施設を開設。浪江町に滞在して被災地の現状を理解しながら防災や復興を学ぶようにする。
同町で整備が始まった福島国際研究教育機構(エフレイ)とも連携し、水素エネルギーやまちづくりの研究などに取り組む。
冨永総長は「研究者や学生が来て、浜通りが活気づくように貢献していきたい」と抱負を語った。吉田町長は「地域全体の復興への相乗効果を期待している」と話した。