東京大学の林香里理事・副学長=2025年4月25日午後2時3分、東京都文京区、山本知佳撮影

 東京大は、早稲田大に次いで多い5231人(2024年11月現在)の留学生を受け入れている。キャンパスに大勢の留学生がいることの意義や現状の課題について、どのように考えているのか。国際・ダイバーシティー担当の林香里理事・副学長に聞いた。

 ――なぜ東大は、留学生の獲得に力を入れるのですか。

 意欲と能力のある学生を世界中から受け入れ、地理的・文化的に多様な背景を持つ学生が学ぶ場を実現しようとしています。互いに刺激を受けながら成長できる環境が生まれるからです。

 東京にいても常にグローバルな環境に身を置いていないと、国際的な舞台で交渉したり発表したりする力を身につけることは容易ではありません。若いうちからトレーニングをしておく必要があるのです。そうした環境が整っていないことが、日本の喫緊の大きな課題だと考えています。

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中国人留学生が増える理由

 ――国会などで、東大で留学生、特に中国からの留学生が増えていることを問題視する声があります。

 東大では、大学院を中心に留学生が増えてきました。30年の間に3倍近くに増え、全学生の17%となっています。

 このうち中国からの留学生は増える傾向にあり、24年は67%です。ただ、中国の大学進学率は30年前の15倍に上昇し、国外への留学も急増しています。日本だけでなく各国でも同じように、中国人留学生の割合は増えています。

 ――国会などでは、留学生をめぐり経済安全保障の問題も指摘されています。

 中国人に限らず留学生はすべ…

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