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済美―東洋大姫路 七回裏東洋大姫路1死二塁、白鳥の適時打で生還する二塁走者の高畑(左)=竹花徹朗撮影

 (8日、第107回全国高校野球選手権大会1回戦 東洋大姫路5―3済美)

 「打線の鍵は、1番の渡辺と3番の高畑」。東洋大姫路の岡田龍生監督はそう口にしてきた。

 ただ、迎えた夏の甲子園の初戦、2人とも3打席目まで無安打だった。高畑知季選手(3年)は、二遊間を組む渡辺拓雲主将(3年)とずっと話していた。「とにかく、1本打ちたいな」

 同点で迎えた七回。先頭の渡辺主将が安打を放ち、犠打で二塁に。塁上で笑顔を向ける渡辺主将が目に入り、「自分も打たなあかんな」と、高畑選手はリラックスした。

 1死二塁、頭は整理できた。身長183センチの相手投手に対して、見上げないようなつもりで構える。そして、浮いてきた球をセンターに――。2球目、高めの直球をはじき返し、勝ち越しの一打を放った。

 昨秋まで、高畑選手は下位の打順に座り「守備の人だった」という。それでも「打線の鍵」となるまでに至ったのは肉体の改造があるという。体重を4キロほど増量し、ウェートトレーニングで筋肉量を増やした。

 「野手の間を抜ける強い打球」を意識した結果、兵庫大会で5割2本塁打と好調で、岡田監督も「一番伸びた選手」という。

 今春の選抜大会では、体調不良により欠場した2回戦で敗退し、「甲子園にかける思いは誰よりも強い」。

 高畑選手は、「みんな初戦で体が固まっていたので、次はもっと打てると思う」と笑いつつ、「粘り強く1点を守り、攻められる時に攻め切ることを大事にしたい」と次を見据える。

 夏の甲子園での勝利は、2011年以来。強力な打線が「夏の東洋」をよみがえらせる。

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