これからの治水について話す田代喬さん=2025年9月8日、名古屋大、大西英正撮影

 東海豪雨から25年。災害の教訓を伝える企画展が名古屋大学の減災館で開かれている。名古屋大の田代喬(たかし)・特任教授(49)に、企画展の狙いやこれからの減災について聞いた。

 ――企画展の特徴は。

 四半世紀が経ち、東海豪雨とは何だったのかという点に力点を置きました。例えば、経済被害。2018年の西日本豪雨や19年の東日本台風のように、人的被害で東海豪雨を大きく上回るものはあります。一方で、県ごとに比較した経済被害では、東海豪雨の愛知県は19年の福島県に次ぐ。こうしたデータを含め、教訓としていかせればという視点で企画しました。

 ――改めて東海豪雨とは。

 まず特筆すべきは都市が水に浸(つ)かったという点。19年には神奈川の武蔵小杉などでタワーマンションが水に浸かり大きく報じられましたが、都市の一部の限られた場所でした。これに対し、東海豪雨は電気、ガスといったライフラインはもとより地下鉄も含めインフラがことごとく途絶し、多大な影響を与えました。

 内水氾濫(はんらん)によって浸水し、「川がなくてもどこでも起こる」と印象づけたことも大きい。名古屋市域の37%が浸水したわけですから。また、川の上流である中山間地で土砂災害が多発した点も重要です。

 ――直近ではどのような対策がありますか。

名古屋市の対策は

 名古屋市では「大雨に強いま…

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