【茨城】睡眠や覚醒のメカニズムを研究する筑波大国際統合睡眠医科学研究機構(機構長・柳沢正史教授)と大手メーカーの東芝が、睡眠にかかわる共同研究を始めた。同社の従業員約5千人のデータを活用。睡眠と疾患リスクとの因果関係などを調査する。
11月21日、柳沢教授が同大の定例会見で明らかにした。参加するのはデータ提供に同意した同社の従業員。柳沢教授が社長を務める「S’UIMIN」社の装置を自宅で5日間装着し、脳波を測る。研究期間は2026年3月まで。
日本の平均睡眠時間はOECD加盟国で最も短い。不眠や睡眠不足による「睡眠負債」は経済損失や医療費増大につながり、年間約15兆円の損失を招いている、との指摘もある。
今回の共同研究で、柳沢教授らは取得した睡眠データと、個人の遺伝情報や健康情報を組み合わせて「ビッグデータ」を構築する。その上で、「睡眠負債」が引き起こすリスクの予測法の開発を目指す。
遺伝と睡眠に関する研究の報告例は少ないという。柳沢教授は「実現できれば、世界初の貴重なデータになる」と意義を語った。