東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の重大事故に備える広域避難計画「緊急時対応」について、政府は27日、原子力防災会議(議長・石破茂首相)で了承した。東電がめざす6、7号機の再稼働に必要な国の手続きはほぼ終えたが、県の同意は得られておらず、見通しは立っていない。
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首相官邸で開かれた会議で、石破首相は家屋が倒壊するなどした昨年の能登半島地震に触れ、「豪雪時に原子力災害との複合災害が発生した場合の避難経路の確保や人命救助のための除雪対応など、地域固有の課題に対応する必要がある」と述べた。
緊急時対応は、原発の30キロ圏にある自治体がつくる避難計画や国の支援などをまとめたもので、再稼働の事実上の条件となっている。
柏崎刈羽原発の30キロ圏には9市町村が含まれ、人口は約41万6千人。事故の状況などに応じ、5キロ圏と5~30キロ圏の住民がそれぞれ避難する場所や交通手段、タイミングなどを設定した。
能登半島地震を受けて複合災害を心配する声が上がり、豪雪の時に原発事故が起きた際には、警察や自衛隊などが人命救助のために除雪作業をすることを盛り込んだ。
内閣府は疑問に答える「QA集」を作り、複合災害のときは、自然災害に対する避難を優先することなどを示した。