東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働の是非を、県民投票で問う。そんな条例案が4月16日からの臨時県議会で審議される。二者択一の手法には批判の声もあるが、賛成派はどう答えるのか。新潟市議の中山均さん(65)、旧巻町長の笹口孝明さん(77)、元弁護士の高島民雄さん(77)の3人に、10の疑問点について考えを聞いた。

再稼働に「賛成」か「反対」の二者択一で問うことは

疑問1「二者択一では多様な意見がすくい取れない」

 中山氏 県民投票の意義が認められるなら、賛否以外の選択肢を加えることを否定するものではない。県議会で熟議のうえ、条例案を修正してほしい。ただし、「どちらでもない」の選択肢を入れるのは適切ではない。それが最多になると、政策判断をどうすべきかの結論につながらない。

なかやま・ひとし 1959年生まれ。新潟市議。県民投票条例の制定を新潟県に請求した市民団体「柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決める会」の事務局の1人

 笹口氏 問われているのは再稼働するかしないかであって、その中間はありえない。選択肢を増やせば、為政者が都合の良い解釈をする恐れがある。まぎれもなく住民の意思だ、と確認するには二者択一しかない。

 高島氏 県民はいろいろな条件を考慮しながら賛成か反対かの結論を出せるはずで、もっと県民を信頼すべきだ。

疑問2「二者択一の投票は県民の間にしこりが残る」

 笹口氏 旧巻町では1996年、東北電力巻原発の建設の是非を争点にした全国初の住民投票があった。一部の賛成派と反対派が対立したかもしれないが、住民投票が終わり、原発建設反対が賛成を上回る結果が出たあとは、時間とともに融和し、通常の生活に戻っていった。今回、県民の間で議論が起きて関係が壊れたとしても、また修復できると思う。

ささぐち・たかあき 1948年生まれ。旧巻町(現新潟市西蒲区)の元町長。住民団体「巻原発・住民投票を実行する会」の代表として活動し、町長就任後に原発新設の是非を問う住民投票を実現させた。「笹祝酒造」相談役

 投票すれば、将来を自分たちが決めたという満足感と誇りを持てる。むしろ実施しなかった場合、「わずかな議員や知事だけで進めた」と不満が心に残るのでは。

 高島氏 「県民が分断される」との懸念は、為政者側が、政策に反対する人がたくさん出てくるのを抑えつける口実に過ぎない。旧巻町の住民投票時、宴席では笹口さんの酒造会社「笹祝酒造」の日本酒を排除する圧力がかかった。市民を言いなりにさせようとする為政者側の意図を示している。

再稼働というテーマは県民投票になじむのか

 中山氏 熟議を進め、賛否双…

共有
Exit mobile version