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経済産業省の審議会で委員を務める寿楽浩太・東京電機大教授

 原発の運転で生じる高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場について原子力発電環境整備機構(NUMO)は2月、「文献調査」をとりまとめた報告書案を公表した。北海道寿都(すっつ)町の大半と神恵内(かもえない)村の一部を次の「概要調査」の候補地とする内容に、専門家からは「地層処分の適地ではない」と疑問の声も上がる。報告書案について、経済産業省の審議会で委員を務める寿楽浩太・東京電機大教授に評価を聞いた。

 核のごみを地層処分することが法律で決まってから、最初の文献調査の報告書案が出るまでに24年かかった。政府とNUMOは約10の自治体に調査を受け入れてもらい、最終的に1カ所に絞り込む方針だが、北海道の2町村に続く自治体は現れていない。

 文献調査を受け入れると最大20億円、次の概要調査で最大70億円の交付金が自治体にもたらされる。交付金によって調査の受け入れ自治体が相次ぐものと、政府とNUMOは当時、見込んでいたのではないか。処分場の受け入れが地域にどれほどの負担であり、忌避されるものかという視点が欠けていた。

 そもそも地層処分は前例のな…

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