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核不拡散条約(NPT)再検討会議の第3準備委員会の議場=2025年5月9日午後4時25分、米ニューヨークの国連本部、田中恭太撮影

 2026年に開かれる核不拡散条約(NPT)再検討会議に向け、米ニューヨークの国連本部で開かれていた第3回準備委員会が9日、2週間の日程を終えた。今回の準備委では、核保有国による核戦力の報告方法を明確化するなど、NPTでの議論や検証を強化する方策の採択を試みたが、全会一致に至らず断念した。

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 具体的な核軍縮が進まない中、透明性や説明責任を求める狙いがあった。報告書の形式を統一したり、報告書について議論する場を設けたりといった方策が検討された。一方、透明性の低さを批判されてきた中国が「一部の国が得をする一方で、安全保障上の利益が害される国も出てくる」と述べるなど、核保有国の間で立場の隔たりが見られた。最終日まで妥協点が探られたが、埋まらなかった。

「勧告」も一致には至らず

 来年の再検討会議に対して議論の土台を示す「勧告」文書も、表現の調整が続けられたが合意文書にはならず、通例通り議長個人による勧告の形になった。

 議長勧告には、核兵器の質の向上や量の増加への懸念、被爆者との交流も含めた軍縮・不拡散教育の重要性などが盛り込まれ、日本の市川とみ子・軍縮大使は「日本が重視する要素が幅広く反映された」としている。

 準備委を傍聴した鈴木達治郎…

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