Smiley face
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桜井ユキさん=慎芝賢撮影
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 NHK連続テレビ小説「虎に翼」で華族令嬢・涼子を好演し、注目を一気に集めた桜井ユキさん。ドラマ「しあわせは食べて寝て待て」(NHK、火曜夜10時)で主演を務めている。「虎に翼」とは一転、現代劇で、一生つきあう病気にかかったことで新しい生き方を模索する主人公・麦巻さとこを演じている。

 さとこは病気により、フルタイムで働くことができなくなってしまった38歳の女性。今は週4回パートとして働き、病気を機に築45年で家賃5万円の団地に引っ越し、大家の鈴(加賀まりこ)と司(宮沢氷魚)、そして、食事で体調を整える薬膳と出会っていく。

 演じるさとこの姿には、かつて〝モヤッとした感情〟を抱えた桜井さん自身の過去が重なるという。今作に込めた思いや自身の経験について語ってもらった。

「優しくて、ほっこり」という一言で片付けてほしくない

 ――オファーを受けた時の率直な感想は。

 「なんて優しいタイトルなんだろう」と感じました。薬膳を取り入れた作品だと聞いて、優しくて、ほっこりとした物語だと思っていました。

 でも、実際に原作を読み、さとこを演じていく中で、「優しくて、ほっこり」という一言で片付けてほしくないという思いが強くなりました。(このドラマでは)大きな事件は起きないし、胸を打つような悲しい出来事も大恋愛もありません。でも、日常ってそういうものだと思います。

 ――さとこは膠原(こうげん)病を抱えながら日々を送っています。

 この病は人によって症状が異なり、他人から見れば健康体に見えることもあります。でも、さとこが抱える葛藤やつらさは、本人にしかわかりません。そういったつらさは、実は世の中にたくさんあると思うんです。さとこだけでなく、司や鈴さんも、明るく見えて、実はそれぞれに何かを抱えている。それぞれがそっと寄り添っている彼女たちの日常は、勇気をもらえるし、人づきあいは素敵だと改めて感じさせてくれると思います。

 ――タイトルにも通じる「果報は寝て待て」という心構えは、焦りとの戦いでもあり、難しさも感じてしまいます。

 もちろん、私も難しいと感じますし、きっと、焦りや葛藤を抱えると思います。でも、心身が自分のベストな状態でなければ、本末転倒だと思うんです。体調面もメンタル面も整えるには、日々の積み重ねが大切だと思っていて、食事や睡眠、人間関係も無理をしないように、「今日はこれをやめてみよう」と一つだけ手放してみるだけでも、自分を整えることにつながると思います。

 さとこも、そんな小さな積み重ねを経て、少しずつ体調が良くなっていきます。見てくださる方にも、無理なく、そんな一歩を踏み出してもらえたらと思っています。

 ――これまでの役柄とは異なる印象を受けました。

 確かに芯の通った役が多かっ…

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