「偲ぶ会」で飾られた森村誠一さんの遺影
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 昨年7月に90歳で亡くなった作家、森村誠一さんを「偲(しの)ぶ会」が16日、東京都千代田区のホテルニューオータニで開かれた。若き日に森村さんが働いていたゆかりの場に、親交の深かった作家ら約200人が集まった。

 弔辞の一番手は赤川次郎さん。共にベストセラーを連発し、押し寄せる締めきりと闘い続けていたころ、森村さんから「戦友」と呼ばれた思い出から語り始めた。「私は戦後生まれですが、森村さんにとっては戦争は身近なものだった。戦争の後の日本の惨めさ、貧しさを知らない世代が増えるなか、エンターテインメントだけでなく、ノンフィクションを書いたり、反戦の意を込めた合唱曲の作詞をされたり、戦争に対する批判的な目を持ち続けた。私も後をついで、戦争の記憶を、次の世代に伝える役割を少しでも果たしていかなればならないと思う。そういう意味での戦友でもありたい」

 献杯は北方謙三さん。続いて、森村さんが名誉塾長を務めた小説教室で学んだ上田秀人さんが思い出を語った。

 森村作品は数多く映像になった。ドラマ「終着駅」シリーズで主役の刑事、牛尾正直を演じた片岡鶴太郎さんは「牛尾を私淑していました」と話し、どんな状況でも言葉を荒らげず、冷静で柔らかな視点を持ち、自分を厳しく律する牛尾に少しでも近づきたいと演じていたという。

 「ロケ現場に陣中見舞いに訪…

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