子どもを背負って練習するテューバ奏者=2024年7月23日、松山市、戸田拓撮影

 「いくつになっても楽器を続けたい」。そんな願いをかなえるために集まった、四国で数少ない女性だけの吹奏楽団「マーブルアース★ママブラス」が9月、6年ぶりの演奏会を愛媛県で開く。団名に「ママ」とあるが、既婚・未婚を問わず女性なら誰でも入団可能だ。音楽と共にある日常を慈しむ姿を垣間見た。

 松山市の県男女共同参画センターに7月23日午前、楽器ケースを持った女性らが集まってきた。記者が練習場所に入ろうとしたところ、呼び止められた。「中で授乳中の人がいます」

 団員は47人で、この日は20人余りが参加。年代は20~50代と幅広く、子どもを連れて来ている人も少なくなかった。

 めいめいで音出しをした後、合奏の練習。指揮者の石川多恵子さんのタクトで、ばらばらだった音の断片が一筋の豊かな流れになる。東日本大震災の復興支援で海外の作曲家が書いた「陽(ひ)はまた昇る」、多くのバンドが奏でる「オーメンズ・オブ・ラブ」。約700席のホールでの本番を想定した迫力あるサウンドが空間に充満した。

 子どもたちは大きな音に慣れているのか、床で塗り絵をしたり、壁際の机で宿題を解いたりしている。体の前に大きなテューバを抱え、幼児を背負った団員もいた。走り回る子どもを追いかける姿も見られたが、他のメンバーは練習を続けていた。

多様な年代、個性がマーブル模様のように

 結成は2008年。初代団長…

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