(7日、プロ野球 東北楽天ゴールデンイーグルス3―2福岡ソフトバンクホークス)
プロ13年目を迎えたベテランでも、シーズン初安打が出るまで自分を信じられなくなるときがある。初安打がサヨナラ打となった楽天の鈴木大地が本音を漏らした。
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「誰もが焦っていないと思っていても、焦っている」
今季初めて先発出場し、2―2で迎えた九回1死二塁だった。フルカウントから、ソフトバンクの新人右腕、沢柳亮太郎(ロキテクノ富山)のフォークをとらえて右翼線へ。今季9打席目でサヨナラ二塁打を放ち、心の底から喜んだ。
「それまで迷惑をかけていたので、この一打がでて自分もホッとしていますし、チームが勝てたのが一番よかった」
春先から調子が上がらず、先発出場を確保しているわけではない。チームの状態も上向かず、責任を感じていた。それでも、やることに変わりはない。この日も一足早くグラウンドに現れ、全体練習の前にロングティーでバットを振り込み、不振から抜け出すきっかけを探ってきた。
「ぶれずにずっとやってきていることなので。そこには自分自身を作ってきた気持ちがある」。ひとりで苦しみを抱えてきたわけでもない。「毎日手伝ってくれるスタッフさんがいて、本当に喜んでもらえた。そういう人にも感謝しなきゃいけないので、なんとか結果を出し続けたい」
ロッテから2020年に楽天に移籍してから、初のサヨナラ打。「もう5年目になっちゃいましたけど、こういう経験をさせてもらって感謝しかない」
そして、短い一言に信念がこもる。「一瞬が勝負だと思っています」。類いまれなリーダーシップとしぶとい打撃は、今季も武器になる。(笠井正基)
今江監督(楽) 鈴木大がサヨナラ打。「彼自身にとっても大きな1本になったと思うし、チームにとっても大きな1勝」
則本(楽) 抑えに転向し、今季初勝利。「結果が全てなんで。今日はゼロに抑えられたことは良かったかなと」