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 まるで一枚の風景画のようだ。息をきって上った坂の先に待つ景色が、疲れを和らげてくれる。

写真・図版
神戸大学百年記念館からの眺望。階段に腰掛けて憩う人たちが次々にやって来た=2025年8月27日、神戸市灘区、大山貴世撮影

【撮影ワンポイント】標高100メートルの丘にある「世界を眺める窓」

遠くの雲までがそばに感じられるように圧縮効果のある望遠レンズで撮影しようと臨んだが、横に長い「窓」が画角に収まらない。広角レンズで窓を画角いっぱいに入れると、遠近感が出て景色が遠のいてしまう。レンズの焦点距離と立ち位置を探りながら撮影した。(大山貴世)

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 六甲山系の展望広場「掬星台(きくせいだい)」やランドマークの「神戸ポートタワー」など、港町・神戸を見渡せる人気スポットはほかにもある。だが、ここは神戸大の敷地内にある「神戸大学百年記念館」の一部だ。

 国際交流の拠点となることを目的に、2002年の大学創立100周年にあわせ、00年に六甲台キャンパス内に建てられた。総床面積は約4千平方メートルで、鉄筋コンクリート造りの複合施設となっている。

 留学生センターや史料室のほか、学生や教職員の共用施設として研究会やシンポジウムなどに使われる。施設利用は学校関係者に限るが、この景色は一般でも見ることができる。

 基本設計を担ったのは、神戸大工学部教授だった建築家の狩野忠正氏。大学の百年史などによると、標高約100メートルに位置するこの建物は、世界に開かれた七つの海を越えて行き来する鳥が今にも飛び立とうとする瞬間をイメージしているのだという。

 大きく開かれた南側は、まさに神戸のまちを「鳥瞰(ちょうかん)」できる。

 学生にとってはどんな場所なのか。

 農学部1年の中沢小遥さんは…

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