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13日、川越市の会場で作品の前に立つ宍戸清孝さん
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 仙台市出身の写真家、宍戸清孝さんが8月、埼玉県と長野県で「日系アメリカ人二世兵士写真展」を開く。米国兵として母国・日本と戦わざるを得なかった日系2世たちの戦後を、モノクロ写真で描き出している。

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 日本から米国への大規模移住は19世紀末、ハワイのサトウキビ畑の労働者として本格的に始まったとされる。

 1941年、日本軍による真珠湾攻撃の後、日系人にとって日本は「敵国」になった。

 米国に忠誠を誓い、日本軍と戦う一方、米国では「敵性外国人」とみられた。財産を没収されたり、収容所に入れられたりした。

 宍戸さんが日系2世に関心を持ったのは13歳の時。青森・米軍三沢基地で戦闘機に絵を描いていたおじを訪ね、日系人の軍人を見たという。

 「おじの話から、真珠湾攻撃で2世の人生が変わったことを知りました。こんな人生があるのか、と衝撃でした」

 おじの近所に住んでいた米兵がベトナム戦争で戦死したことも、「戦争」と「死」を考えるきっかけになったという。

 25歳で渡米。日系人部隊「第442連隊」として欧州戦線に向かった当事者らと出会い、20年以上、写真として記録してきた。それらの作品は「21世紀への帰還 Ⅳ」として2004年度の伊奈信男賞を受賞した。

 今回展示する写真の多くは、彼らの肖像だ。

 「2世にとっての戦争は、差別の歴史と言える。それでも米国に忠誠を尽くして戦うことで、3世、4世と続く日系人の未来を築き上げようと考えたのです」

 2022年の全米地域調査によると、米国には160万人以上の日系人がいる。

 日系米国人を研究し、写真展を企画した小笠原和子さんは「日系人のことを『日本を裏切った人』と思う人もいるかもしれない。宍戸さんの写真を見ることで、彼らの立場になって考える機会になってほしい」と話している。

 写真展は17日まで、埼玉県川越市鯨井の川越西文化会館メルトで。23、24日は長野市若里1丁目の県立長野図書館3階で、28~31日は埼玉県所沢市並木の市民文化センターミューズ2階ザ・スクエアにて開く。問い合わせは小笠原さん(080・7046・3161)へ。

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