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運動、1日何分するといい?

 みなさん、血圧をはかりましたか? 今回も「血圧と運動」がテーマです。血圧を下げる効果のある運動は、有酸素運動だけではないことを、前回ご紹介しました。今回は、実際にどんな運動がよいのか、日本高血圧学会理事の三浦伸一郎・福岡大学病院長(心臓・血管内科学教授)に語ってもらいます。

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 血圧を下げる効果のある運動には、大きく分けて有酸素運動と、レジスタンス運動があります。

 有酸素運動は、ジョギングや早歩き、スイミングなどの、持久力を高める運動ですね。連続して動き続ける運動で、段差を上がり下がりするステップ運動や、3メートルほどの幅をいったりきたり小走りする運動のように、自宅でできるものもあります。

 レジスタンス運動は、筋肉を収縮させる運動です。関節を曲げ伸ばしするものと、しないものがあり、前者を「動的レジスタンス運動」、後者を「静的レジスタンス運動」とよびます。

 動的レジスタンス運動には、腕立て伏せやスクワットなどが該当します。関節を曲げ伸ばしして行います。

 静的レジスタンス運動は、手のひらを胸の前で押し合う運動や、立って椅子の背もたれにつかまりながら、かかとを上げ下げする運動などがあります。運動中は、息を止めたり、いきんだりせず、呼吸をしっかりしながら行いましょう。

 日本高血圧学会では、「高血圧予防体操」と題して、実際にどのような運動があるのかを、動画にまとめて紹介しています。気になる方は、参考になさってください。(https://www.youtube.com/watch?v=-yKt4Wks1js

 有酸素運動では、3メートルほどの幅を繰り返し歩いて往復する「ウォーキング・ターン」や、小走りで往復する「スロージョギング・ターン」、段差を上がったり下りたりする「ベンチステップ」など、室内でもできる運動を紹介しています。

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有酸素運動の例。日本高血圧学会の動画「高血圧予防体操」から

 レジスタンス運動では、椅子につかまって行う「足そり運動」や「足ひらき運動」などを紹介しています。

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レジスタンス運動の例。日本高血圧学会の動画「高血圧予防体操」から

 これらのどれを行うとより効果があるのか、気になりますよね。

 答えは、どれでもいいし、組み合わせてもいい、ということになります。

 繰り返しになりますが、血圧が高めの人が運動をするときは「強度」に注意をしてください。血圧が上がってしまわない「楽~ややきつい程度」の運動を心がけてくださいね。

まずはバス停ひとつ分、歩いてみては

 運動は、1週間に合計200分程度を目指して行ってください。

 毎日するなら1日30分、2日に1回なら1日60分ほどが目安です。

 けっこう、量が多いですよね。

 難しそうだな、と感じる人は、例えば朝・昼・晩に10分ずつ行うのはいかがでしょう。

 通勤するときに、自動車ではなくバスを使う。バスも、停留所をひとつ分歩いてから乗ると、10分か15分くらいは歩けるかもしれません。

 また、一般的に、健康寿命をのばすには、1日8千歩ほど歩くとよいと言われています。なかなか習慣づけて10分、30分といった運動ができない人は、細切れでもいいので、なるべく歩いて、8千歩を目標に少しずつ増やしていけるとよいですね。

 血圧が高めの人も、すでに高血圧の薬をのんでいる人も、まだ体力のある今のうちから体と向き合えば、薬をのまなくてすむかもしれないし、薬を増やさなくてもよいかもしれない。80歳、90歳を健康的にすごすためにも、できることから取り入れてみてくださいね。今からでも遅くはありませんよ!

 次回は、「高血圧の薬の飲み方」がテーマです。

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血圧が高めの人への運動のすすめ

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