長崎・対馬の海岸に打ち寄せられた漂着ごみ=2024年11月21日午前10時55分、長崎県対馬市豊玉町、山本壮一郎撮影

 世界で深刻化する汚染問題に対処する科学的根拠などを提供する、政府間組織が設立された。化学物質や廃棄物による汚染問題は、気候変動や生物多様性の損失と共に、地球や人類が直面する三つの重大な脅威ともいわれている。

 気候変動に関しては、「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)が、生物多様性分野には「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム」(IPBES)がそれぞれあった。それらに次ぐ三つ目の組織となる。

 2022年に開かれた国連環境総会で、設立に向けた決議が採択されていた。25年6月20日、ウルグアイで開かれた政府間会合で、「化学物質、廃棄物及び汚染に関する政府間科学・政策パネル」(ISP―CWP)の設立が正式に合意された。

 化学物質の規制に関しては、ストックホルム条約やバーゼル条約、水俣条約などがある。これらの条約でカバーされていない化学物質については、環境や健康への影響が懸念されているものもあり、規制は各国でばらつきがある。現在、策定に向けて議論中のプラスチックごみによる汚染に対処するための条約でも、懸念のある化学物質をめぐる議論はまとまっていない。廃棄物管理は特に途上国で遅れているケースが少なくない。

 ISP―CWPの設立には、リスク評価や汚染の実態などに関する科学的根拠をまとめて示し、政策決定や条約策定などに役立てる狙いがある。今後1年以内に1回目の会合を開くとしている。

 1988年にできたIPCC…

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