韓国政府は4日の閣議で、軍事境界線付近で敵対行為をしないとする南北間の軍事合意の効力を全面的に停止することを決めた。北朝鮮が、汚物などをつけた風船を韓国に向けて飛ばしたことへの対抗措置だとしている。北朝鮮の反発は必至で、軍事的緊張が高まることは避けられない状況だ。

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 これに先立ち、北朝鮮は5月27日、軍事偵察衛星を打ち上げた。結果は失敗に終わったが、金正恩(キムジョンウン)総書記は追加打ち上げに意欲を示した。30日には一挙に18発の弾道ミサイルを発射した。

 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)政権は2年前の発足以来、一貫して対北強硬策を敷いており、米軍などとの大規模な合同軍事演習を絶え間なく続けている。これらの動きは北朝鮮からすると、挑発にほかならない。

 公安調査庁で長年にわたり北朝鮮問題を分析してきた坂井隆氏は北朝鮮が韓国に対し、「有効な反撃・報復能力があることを誇示し、武力行使を思いとどまらせるために、軍事行動を繰り返している可能性が高い」と指摘する。

 一方、金総書記は5月、強行すれば7回目を数える地下核実験の実施を示唆する発言をしている。坂井氏は北朝鮮が今後、強硬な行動に出る可能性があるとみている。(箱田哲也)

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